【近藤博美のコラム】一枚の写真〜2階デッキで愉しむマジックアワー〜
今回ご紹介するのは、早良区次郎丸にある邸宅の写真です。2階のリビングから続くデッキの風景を紐解いていきます。(撮影:フォトオフィスフォルテ・河波隆博さん)
■都会の喧騒を忘れ、三日月を眺める夜
夜の風景を撮ってもらう時は、この写真のように空がブルーに綺麗に輝くマジックアワーの時間帯を大切にしています。
今回は三日月も登場して、美しい空が撮れました。
この住宅は外壁に窯業系サイディング、ケイミュー社の光セラを使っています。写真のように縦横一直線に目地が通ったデザインのことを芋目地といいます。このような模様のサイディングはなぜか思った以上に少ないのですが、版の間やコーナー材のコーキング等が目立たず、スッキリして面として綺麗に見えるので多用しています。
手前の透明なアクリル板が入ったアルミ手すりの高さは、法律上の落ちない為の高さ110㎝です。奥の壁は2m程まで立ち上げることで回りの家や、少し離れた所にある外環状線の存在を忘れさせてくれます。
アルミ手すりが奥の外壁の所で並行に折れているところが分かりますか?
まっすぐ壁に繋げば、お金もかからないし、広くもなりますが…
この建物が建つ土地は、第1種低層住居専用地域で建ぺい率50%、容積率80%という建物の大きさの制限があります。北西には位置指定道路という道がありますが、建ぺい率の用地緩和は使えないようで。壁と手すりをまっすぐに繋げると建ぺい率をオーバーしてしまうため、法律の範囲内でできるだけ広く使いたくて、苦肉の策としてこのような工夫を施しました。
容積率は、車庫の容積率緩和を使ったり、寝室のウォークインクローゼットを小屋裏収納の緩和規定を使って広げたりして、建築基準法の範囲で有効利用しています。
■デッキを彩る個性豊かな輸入家具
デッキの真中に見える炎が上がっているテーブルのようなものは、中央区薬院のリーベン株式会社で手に入れました。バイオエタノール暖炉とオリーブの古木を通して、生活にゆとりと潤いと癒しを提供されている会社です。
ヨーロッパから輸入したバイオエタノール暖炉に、木製の丸く繫いだ板と胴の部分も丸く編み込んだ布を、2つの国に発注して作成されたそうで、思った以上にお手頃で、この場の雰囲気に合いそうで持ち込みました。
奥のサイドテーブルは、インテリア雑誌等で見られた方もいらっしゃるかとは思いますが、アフリカの洗濯板だそうです。脚は天板に突き刺したものではなく、丸太を削り出したもののようです。
それを挟んで並べたランタンの椅子や手前のモロッコのクッションも、合わせて博多駅前のライトイヤーズや清水のモアライトで手に入れました。